マリー:♀元気で明るい女の子。

 

 

アンシー:♀マリーの友達。大人しく見えるけどマリーに負けず行動派。

 

 

ニーナ:♀不思議な女の子

 

 

グレン:♂アンシーの親戚。魔法使いを束ねる組織のいわゆるお偉いさん。老け顔だぞ。

 

 

マニアット:♂魔法学園の先生。変態だぞ。

 

 

魔法学園 9話

 

 

ニーナ:「知らない方が、よかった、よな……」

 

マリー:「もうニーナちゃんずーっとそればっかり。気にしてないってば!」

 

ニーナ:「でも、アンタ達は魔法使いになるんだろう? 知らないままでいた方が……」

 

マリー:「あーっもう!そんなこと! そんなことないよ全然っこれっぽっちも思ってないんだからっ

確かに、色々考えちゃって授業も集中できてなかったりこれからのことだって考えだしたらきりがなくて

でも、考えないといけないことだって思ってどうしようもなくなっちゃうような時もあるけど、でも!! 私はそれよりも……」

 

マリー:「ニーナちゃんのことを、気持ちを聞けてうれしかったの。それだけだよ。

アンシーも、そうだよね?」

 

アンシー:「……ええ」

 

ニーナ;「だって……」

 

マリー:「ストップ!待って!! 私、ここ最近ずっと頭がパンクしちゃいそうで

だから、その……とにかく、ニーナちゃんが落ち込むことなんかないんだからねっアンシーだってそう思ってるよね?!」

 

アンシー;「え、ええ、もちろん」

 

マリー:「だから、これ以上このことでネガティブなこと言うの禁止!ね?

三ヵ月くらい聞き続けて、もう私まで暗い気持ちになっちゃいそうだよ」

 

ニーナ:「……わかった」

 

アンシー:「あっ私ちょっと行きたいところがあったんだわ……今日は先に帰っていてくれないかしら?」

 

マリー:「なにか用事でもあるの?」

 

アンシー:「ええ、ちょっと」

 

マリー:「そっかぁ。じゃあ、またあとでね! 行こうか、ニーナちゃんっ」

 

ニーナ:「アタシも寄りたいところがあるんだ」

 

マリー:「ええぇっ私一人で帰るの?!さみしいよぉ!」

 

ニーナ:「駄々をこねるなよ。もうひとりで帰るのがさびしいって年でもないだろう?」

 

マリー:「年齢は関係ないもーん」

 

アンシー:「もう、あんまり我儘言っちゃだめよ」

 

マリー:「はぁーい……じゃあ、私は先に帰るね。二人とも門限までには帰ってきてねっ」

 

ニーナ:「ああ、わかったよ。後でな」

 

アンシー:「では、また夜に……」

 

アンシー:「……マリーが、うらやましいわ」

 

 

 

 

 

────

 

 

 

マニアット:「おや、君一人で私を訪ねてくるなんて珍しいじゃないか」

 

アンシー:「……私、わからなくなっちゃったんです」

 

マニアット:「ふむ……、場所を変えるとしようか。ついてきなさい」

 

 

 

 

 

マニアット:「随分と迷っているようだな」

 

アンシー:「……週末に、外出許可をいただいて一度家に戻ってみたんです。

どうしても、聞きたいことが……聞かないといけないと、思ったから……」

 

マニアット:「君一人でかね?」

 

アンシー:「私だけでなくては、意味がなかったので……」

 

マニアット:「続けたまえ」

 

アンシー:「おそらく、この街でも魔族についてとても詳しい方……私の親戚に……魔道支部長のグレンさんという方がいて、会ってきました。

今の私には、とても難しいお話ばかりで……ほとんど、理解できないまま終わってしまいましたが……」

 

マニアット:「……そうか、君は知ってしまったんだな」

 

アンシー:「はい……」

 

 

 

 

(回想・魔道支部長室)

 

 

グレン:「突然呼び出されたかと思ったら君か。事前の連絡もなく大人を呼び出すだなんて非常識だぞ」

 

アンシー:「申し訳ありません。どうしても、貴方にしか聞けないことでしたので……」

 

グレン:「用件があるならさっさと済ませてくれ。俺は忙しいんだ。」

 

アンシー:「お忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございます。それでは、単刀直入にお聞きします。

人間が、魔族になるということはありえることだと、グレンさんは認識していますか?」

 

グレン:「なにを言うかと思えば。そんなくだらない噂話を俺に聞かせにきたのか?」

 

アンシー:「私の友人の、大切な方が魔族になったと。確かに聞きました。あの人は平然と嘘をつけるような人間には見えませんでした」

 

グレン:「……お前は今、魔法学園に通っているのだったか」

 

アンシー:「はい」

 

グレン:「一つ聞く。何故俺を訪ねてきた」

 

アンシー:「私が今まで魔族になった人の話を聞かなかったのは、知られないように隠されているのだと思ったからです

それができるのは、影響力統率力がある組織で、なおかつ魔族に関しての発言に説得力がある……魔道支部だと判断しました」

 

グレン:「成程。視野狭窄に陥っている自覚がないのがいただけないが度胸はいい。気に入った」

 

アンシー:「グレンさんは、知っているのではないですか?」

 

グレン:「そうだな。魔力がすべてのものに宿り、存在するすべてに魔力がある。魔力を操れるのは、人間と魔族だけだがな。

魔族が人間のようであり獣のような姿をしているというのに、誰もその姿に疑問を抱かない。魔法使いがいれば、とりあえずは平和だからな。

人間の中で、魔法使いだけが魔力を操れる。魔族と魔法使いの違いが、なんだかわかるか?」

 

アンシー:「魔法使いは、人間で魔族は……」

 

グレン:「魔族という名もまた、人間が勝手につけたものだ」

 

アンシー:「……」

 

グレン:「あとは自分で考えろ。俺も簡単に魔族のことは口にしていい立場ではないんでな」

 

 

 

 

 

 

(現在に戻る)

 

 

アンシー:「……人が、魔族になるかならないかある程度予測することができるのではないか、と私は考えています。…違いますか?」

 

マニアット:「……だいたい、合っているよ」

 

アンシー:「…………」

 

マニアット:「どんな人間も、魔族になりうる。生まれながらにして“魔族に寄っている”者を見分けることができる程度の技術しか今はない」

 

アンシー:「魔族は、元々人だった、ってことですか?」

 

マニアット:「君が教えられた通り、動物が魔力によって異常な変化……突然変異を起こし魔族となっていることも事実だ」

 

アンシー:「……」

 

マニアット:「魔族になれば、いずれ多くの人を殺めてしまう。我々力ある者が、力なき者を守らねば人々は生き残ることができなくなってしまう……私は、そう教えられた」

 

アンシー:「魔法使いのみなさんは、知っているんですか?」

 

マニアット:「長くやっていれば、嫌でも知ってしまう」

 

アンシー:「……なぜ、それを教えてくれないのですか……魔族になったって、人間だったのなら……っ

殺されるから殺すんですか?大勢で囲んで、人だったかもしれない相手を……大切な誰かがその人にもいたかもしれないのに……!」

 

マニアット:「ああ、そうだ。」

 

アンシー:「私には、わかりません。

どうにかする方法は……ないんですか? だって、それじゃあ……ひ、ひとごろしと……どう違うっていうんですか?!」

 

マニアット「……私は、君の道を強制しようとは思わない。迷っているのなら、存分に迷いなさい。

私が道を示しても、君は納得できないだろう。魔法使いになるだけが、道ではない。」

 

アンシー:「魔道支部も、魔具職人も……ここを卒業して、就ける職業は……全部魔族を多を巣為のものなんですね……」

 

マニアット:「それ程、人類にとって脅威だということだ」

 

アンシー:「……マリーは、魔法使いに憧れて……この学園にきたのにっ……最初から、知っていれば……」

 

マニアット:「……」

 

アンシー:「私、この学園にいる意味が……わからなくなりました……わから、ないんです……」

 

 

 

 

 

 

 

続く